バッハが奏でる至福の旋律「主よ、人の望みの喜びよ」

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クラシック音楽の世界には、多くの名曲が存在します。

その中でも、多くの人々に愛され続けている楽曲のひとつが、Johann Sebastian Bach(ヨハン・ゼバスチャン・バッハ)によって作曲された「Jesu, Joy of Man’s Desiring」、日本語では「主よ、人の望みの喜びよ」として親しまれています。

この記事では、この美しい曲の作曲者であるバッハ、曲の背景や特徴、そして歌詞について紹介します。

クラシック音楽ファンであればもちろん、音楽に興味のある方にも楽しんでいただける内容となっておりますので、どうぞお楽しみください。

目次

「主よ、人の望みの喜びよ」の作曲者:バッハの経歴

ヨハン・ゼバスチャン・バッハは、1685年にドイツに生まれた作曲家で、バロック時代を代表する音楽家のひとりです。

彼は、オルガンやチェンバロの演奏家としても高い評価を受けており、その才能は多岐にわたります。バッハは数多くの宗教曲を残していますが、「主よ、人の望みの喜びよ」もそのひとつです。

曲の背景:名曲「主よ、人の望みの喜びよ」が生まれた瞬間

「主よ、人の望みの喜びよ」は、1723年に作曲されたカンタータ「心と口と行いと生活によって」(BWV 147)の中の楽曲で、バッハがライプツィヒでトーマス教会のカントル(音楽監督)に就任した最初の年に作曲されました。

当初は宗教的な目的で使われていたこの曲は、カンタータの第6曲目と第10曲目に配置されています。カンタータ全体は、イエス・キリストの誕生や救いの恵みを讃える内容となっています。

バッハは、この曲をマルティン・ヤーンの詩に基づいて作曲しました。ヤーンは、17世紀のドイツの詩人で、多くの宗教詩を残しています。

この詩は、イエス・キリストへの信仰と愛を讃えるものであり、バッハはその美しい詩に感銘を受けて作曲に取り組んだと言われています。

また、この曲はバロック時代の音楽の特徴を色濃く反映しています。例えば、複雑な対位法や豊かなハーモニーが用いられており、聴く者に独特の魅力を感じさせます。

バッハの作品の中でも特に名高い「主よ、人の望みの喜びよ」は、彼の音楽的才能を如実に示す作品のひとつであり、その普遍的な美しさから、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

曲の特徴:「主よ、人の望みの喜びよ」の魅力

「主よ、人の望みの喜びよ」は、バッハの特徴的なポリフォニー(複数の旋律が絡み合うこと)が際立っています。穏やかで温かみのあるメロディと、透明感のあるハーモニーが絶妙に組み合わさり、独特の美しさを醸し出しています。

この曲は、オルガンやチェンバロ、管弦楽の合奏によって奏でられる美しい旋律と、合唱が織りなすハーモニーが印象的です。特に、オルガンやチェンバロの繊細な音色が、神秘的な雰囲気を演出しています。

また、合唱部分は、シンプルながらも力強いメロディラインが特徴で、歌詞と相まって深い感動を呼び起こします。

さらに、バッハはこの曲において、緻密なカウンターポイント(対位法)を用いています。これにより、異なる楽器や声部が独立した旋律を持ちながらも、全体として一つの美しい音楽を形成しています。

このカウンターポイントの技法は、バッハの作品において特徴的なものであり、「主よ、人の望みの喜びよ」でもその才能が光ります。

また、「主よ、人の望みの喜びよ」は、当初、オルガンやチェンバロ、管弦楽の合奏と合唱による形で演奏されていましたが、その後、さまざまなアレンジが施され、世界中で愛されるようになりました。

現在では、結婚式やクリスマスの祝祭、卒業式などの慶事や、映画やドラマの挿入歌としても使用されており、幅広い場面で親しまれています。

近年では、日本のアニメーション映画「シン・エヴァンゲリオン」で、劇中にこの曲が使われるシーンがあり、話題になりました。

歌詞について:「主よ、人の望みの喜びよ」の伝えるメッセージ

カンタータBWV 147「心と口と行いと生活によって」には、美しい歌詞が含まれています。このカンタータの中で特に有名なのは、「主よ、人の望みの喜びよ」として知られる部分で、第6曲目と第10曲目に登場します。

どちらも同じメロディを持っていますが、歌詞は異なります。ここでは、それぞれの歌詞をドイツ語で紹介し、日本語訳も併せて解説します。

第6曲目のドイツ語歌詞:

Wohl mir, daß ich Jesum habe,
O wie feste halt’ ich ihn,
Daß er mir mein Herze labe,
Wenn ich krank und traurig bin.
Jesum hab’ ich, der mich liebet
Und sich mir zu eigen giebet,
Ach drum laß’ ich Jesum nicht,
Wenn mir gleich mein Herze bricht.

日本語訳は、以下のようになります。

私にとって幸いなことに、イエスがいる
どんなに強く彼を抱きしめていることか
彼が私の心を癒してくれるから
私が病気で悲しいとき
私はイエスを持っていて、私を愛してくれる
そして私に自分自身を捧げてくれる
ああ、だから私はイエスを離さない
たとえ私の心が壊れそうになっても

第10曲目のドイツ語歌詞:

Jesus bleibet meine Freude,
Meines Herzens Trost und Saft,
Jesus wehret allem Leide,
Er ist meines Lebens Kraft,
Meiner Augen Lust und Sonne,
Meiner Seele Schatz und Wonne;
Darum laß’ ich Jesum nicht
Aus dem Herzen und Gesicht.

こちらの日本語は、次のようになります。

イエスは私の喜びであり続ける
私の心の慰めと潤い
イエスはすべての苦しみから私を守る
彼は私の生命の力
目の前の喜びと太陽のような存在
私の魂の宝であり歓喜
だから私はイエスを離さない
この心と視界から

これらの歌詞は、キリストへの信仰や神への愛について歌っており、その美しい言葉と感動的なメロディが人々の心に響く理由となっています。

参考動画:Best Version of Jesu, Joy Of Man’s Desiring by Bach (With Lyrics /英語歌詞)

「主よ、人の望みの喜びよ」の英語歌詞について

英語版の歌詞は、ドイツ語のオリジナル歌詞とは別の人によって作られました。

英語圏の国々では、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」は英語の歌詞で歌われることが多く、それによってさらに多くの人々に愛されることになりました。

英語版の歌詞は、オリジナルのドイツ語歌詞の内容を基にしつつ、独自の解釈や表現が加えられています。

これにより、英語圏のリスナーにもバッハの音楽がより身近に感じられるようになりました。

まとめ


ヨハン・ゼバスチャン・バッハが作曲した「主よ、人の望みの喜びよ」は、その美しい旋律と歌詞によって、多くの人々に愛され続けています。

クラシック音楽の中でも特に名高いこの曲は、今後もさまざまな場面で聴かれ続けることでしょう。

バッハの魅力を感じることができる「主よ、人の望みの喜びよ」を、ぜひあなたも楽しんでみてください。

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この記事を書いた人

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